システム子会社への転職は要注意である理由

私はこれまで、正社員として勤めていた会社が2社あります。
この2社は、いずれも「情報システム子会社」と呼ばれる会社です。
振り返ると、1998~2017年の20年間、情報システム子会社で会社員人生を過ごしてきたことになり、長かったなと感じます。

現在、私はフリーランスエンジニアとして仕事をしていますが、過去在籍していた2社で様々なデメリットを感じたことが転職のきっかけとなりました。

システムエンジニアであれば、システム開発におけるスキルを伸ばしたいと考えられる方は多いかと思います。そのスキルを正当に評価されて、収入アップにつながるのが理想かと思いますが、情報システム子会社では思うように自身のスキルや収入が伸ばせないケースがあります。

この記事では、私の経験談も交えて、システム子会社への転職におけるデメリットをお伝えします。
現在、転職先の候補にシステム子会社が含まれる方は、是非ご参考にしていただければと願っております。

システム子会社におけるデメリット

ここでは、自身のシステム開発スキルを伸ばしたいと考えるエンジニアの立場で考えたときに、システム子会社のデメリットをスキル、給与、ストレスの3点でご説明いたします。

スキルは間違いなく頭打ちになる

そもそも、情報システム子会社とは、親会社の情報システム部門が分社化された会社であるのが一般的です。

当然といえば当然ですが、メイン顧客はほぼ親会社が100%となるケースが多いです。システム化するターゲットも、親会社の事業領域に限定される事が多くなります。

メイン顧客が親会社にほぼ固定されるので、業務を通じて習得できるシステム開発スキルは限定されます。

要素技術についても、内部で既に導入事例のある技術を引き続き他のプロジェクトでも使用するのはよく見られることです。積極的に新しい技術を導入する土壌ではありません。

また、システム開発の現場で、実際に設計、実装する機会は少ないと考えて良いでしょう。なぜなら、多くの場合、自社のリソースのみで開発を行うことが不可能だからです。

親会社がそれなりの規模だと、導入、運用する業務システムの規模も大きくなります。プロパーだけではリソースが足らず、パートナー社員を大量に投入するケースが少なくありません。

私が新卒で入った会社では、親会社の基幹業務システムをフルスクラッチで刷新するプロジェクトがあり、多くのパートナー社員を投入していた記憶があります。

そうなると、プロパーの役割はマネジメント業務がメインとなってしまいます。開発スケジュール管理や要員管理、複数チーム間での調整業務など多岐にわたります。設計、実装、テスト作業はほぼパートナー社員が担っていきます。

年齢が若いうちは、パートナー社員に交じって開発作業を行うこともそこそこあるかもしれません。私もプロジェクトに参画して日が浅いうちは開発をやっていましたが、徐々に管理業務にシフトさせられていました。

余談ですが、2社目の時に、親会社でVB6で開発したシステムが未だに稼働しており、その改修案件が私の部署に振られたことがありました。
この時代に今更VB6・・・と思ってしまいますが、確かその案件に投入されたパートナー社員は連日23時過ぎまで残業する始末。

私は直接の関わりはなかったのですが、 この案件には絶対にアサインされたくないと思ったものです。

親会社を超えることは無い給与

親会社を越える給与はもらえない
これは私が在籍した2社とも同じ状況でした。
子会社である以上、親会社の給与水準を越えられないのは当たり前のようです。

例えば、優秀な社員が子会社にいたとして、その能力を買われて親会社へ出向することはあります。ただし、子から親への転籍はないのが通例のようです。いずれ子会社に戻ることになるのです。

※逆向きの転籍(親→子)はありえるそうです。

転職にあたり、給与を重要視する人にとっては、親会社の制約がつきまとうシステム子会社は正直オススメできません。

親子関係がもたらすストレス

結局子会社なので、親会社からの要望については基本受け入れるしかありません。
私がいた会社のように、顧客のほぼ100%が親会社であればなおさらです。
顧客を選ぶ余地が無い分、要望を断るのはなかなか勇気が要る事です。

外販には別の厳しさはあるかと思いますが、親会社が相手だと、なまじグループ企業同士であるために、仕様も契約もなあなあになりがちです。
これくらいなら追加費用無しでやってくれるんでしょ?」というノリです。

結果、追加仕様のゴリ押しが頻繫に発生します。
親会社は自分たちの要件定義の曖昧さを棚に上げて子会社へ無茶苦茶な要求をしてくるのです。

親会社が起因となる、上記のような事が積み重なっていくと、システム子会社の立場では強いストレスを感じるようになります。
私もこのようなストレスが原因で2度休職に追い込まれた苦い記憶があります。

私がシステム子会社に入社してしまった理由

ここまでシステム子会社のデメリットを挙げてみると、「じゃあなぜあなたはそもそもシステム子会社に入社したのか」という質問が出てきそうですね。

単に私が無知であった事はもちろん否めないのですがが、かつて入社を決意した当時の状況を振り返ってみたいと思います。

新卒で入社した1社目

実は、大学時代に公務員を目指しておりまして、必死に勉強して試験を受けたのですが、結果は全て全滅。。。
親が就職浪人を認めてくれる状況ではなかったため、藁をもすがる思いで民間企業の就職活動に切り替えました。

しかし当時は就職氷河期で、求人がそもそもありません。
ほぼ負け戦の状態。焦りました。
そんな時に会社説明会の電話が1社目のシステム子会社からありました。

「未経験でもシステム開発の仕事に就ける」との事だったので適性検査と面接を受けてみました。結果は何故か合格!
もう選り好みしている余裕もなかったので、そのまま入社を決意した次第です。

当時はまだまだシステムエンジニアという職業もさほど稼げる職業というイメージでもなかったのですが、今思うと、とりあえず文系出身なのにこの業界に入れただけ、ラッキーだったのかもしれません。

中途で入社した2社目

残念ながら1社目の会社で30代前半の頃、転勤の憂き目にあい、東京で大したスキルもつかない仕事をして、2年が過ぎました。同フロアにいる親会社の社員のPCの面倒を見たり、某ベンダーから導入したシステムの保守費をめぐってケンカ別れになり、「手が付けられないから面倒見ろ」という無茶ぶりに対応したり。

完全に嫌気がさしていました。
札幌に戻りたい気持ちも強かったので、転職活動を始めることに。
しかし当時のスキルだけではあきらかに不足しており、なかなか内定をもらえませんでした。
結果、20社受けて内定をもらえたのはわずか1社。
正直、この時は札幌に戻ることを最優先し、内定をもらえた1社に入社することを決意したのです。

今思えば、このタイミングで焦らずに、独学でもいいからスキルを身に着けるべきだったのかもしれません。
条件面では1社目より若干良くなったのですが、同じシステム子会社である限り、開発スキルが身に着くことは期待できませんでした。

まとめ

振り返ってみて思うのは、自分がやりたい事、自分の志向としっかり向き合う時間が必要だったという事です。

仕事の内容と自分の志向がある程度重なっていないと、その仕事を長く続けるのは正直難しいと思います。

システム子会社にいて感じたのは、自分の手を動かして作ることから離れて、スケジュール管理、要員管理、様々な社内調整をメインで仕事をしていくことの辛さでした。

「自分のやっている事って、果たしてエンジニアのスキルと言えるのか?」
そんなことを毎日思っていると、自己肯定感も下がっていくんですね。

現在、転職先にシステム子会社が含まれている方に言いたいのは、
親会社も含めて、やりたいと思える仕事がありますか?」という事です。
例えば、親会社が生活家電を製造する会社だったとして、そのシステム子会社に入るという事は、「生活家電の製造に興味がありますか?」という事です。

そこに全く興味がないのであれば、その会社を受けることは正直オススメしません。

システム子会社への転職を検討されるのであれば、親会社の事業も含めて、自分の志向と合っているかを慎重に検討し、判断しましょう。