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AIによって思考が均質化されるのは避けるべき?

AIツールは我々のアウトプットを似通ったものにする懸念

我々ITエンジニアにとって、もはや生成AIは無視できない存在となってしまいました。

私も現場で本格的にAIツールを使ってコードを書くようになって、一度使いだすと元のAIツールの無い世界に戻るのは厳しいなと感じるようになりました。おそらく数年後には、どこのシステム開発現場に行っても生成AIを使用することが当たり前の世界になっているでしょう。

そんな中、先日以下の記事の内容が気になりました。AIは人類の思考を均質化しているという研究結果です。

ChatGPTなどのAIツールは、わたしたちの脳の活動を鈍らせオリジナリティや創造性を奪う──相次ぐ研究によって明らかになった実態とは?

ざっくり要約すると、ChatGPTを使用するグループと使用しないグループに分かれて、共通の課題について小論文を書くという実験を行った結果、ChatGPTを使用するグループの文章は驚くほど似通った文章だったという事です。

AIツールによって個性や特徴が奪われる?

AIツールの登場によって、仕事の生産性は明らかに向上していると思います。

取引先との定型的なメール文章の作成、動画生成、ビジネス文書のたたき台など、AIがカバーできる仕事の範囲はどんどん広がっています。

ブログ記事の作成を例にとると、ある題材について記事を書く際、情報収集から文書の生成、文面のチェックに至るまで、AIツールを利用したほうが自力で書く場合に比べて明らかに記事作成スピードが早いはずです。

もはや便利であることに異論はありませんが、先程の実験結果を踏まえると、より多くの人に記事を読んでもらいたいという前提で考えた時、AIツールを使う事で結果的に均質化された記事が出来上がってしまい、他の似通った記事の中に埋没してしまうリスクが高まるという事になります。

AIに記事作成作業を依存することで、筆者の個性や特徴が奪われ、似たような記事が量産される事は果たして良い事なのでしょうか。

均質化されて良いものは積極的にAIを導入すべき

しかし、均質化されることでむしろメリットが出る作業も当然あるかと思います。例えば、以下の作業については生成AIを活用し作業が均質化されることでメリットが生まれると考えられます。

  • カスタマーサポート:誰が対応しても同じ品質の回答が保たれる
  • 法的文書の作成:あってはならない記述ミスや解釈のブレを最小化できる
  • データ入力、事務処理:人的ミスの削減

システム開発においても、例えば実装フェーズにおいて、適切なプロンプトで生成AIを利用しコードを生成させることは、プロジェクトメンバーの経験年数や技術レベルの差によって成果物の品質が一定しないという課題を解消するひとつの手段になるはずです。

個性や創造性が重要な作業はAIに依存しすぎない工夫が必要

同じ会社の中でも、部署によって個性や創造性が重要視される部署やそうでない部署があるかと思われます。

例えば、マーケティング部門では、いかに自社の商品やサービスをターゲット顧客に買ってもらえるかを考えて、施策を実行することが日々行われています。当然、他社との差別化を図る必要がある中で、戦略立案においてAIに依存しすぎると、どの会社も似たような戦略を打ち出し、結局差別化も図れずに売上も上がらないとなると本末転倒です。

この場合、AIの利用はあくまで補助的にとどめ、人間の思考を主軸にすることを意識する必要があります。

逆に、カスタマーサポート部門では、個性や創造性についてはマーケティング部門ほど重要視されないと思われます。この場合、積極的にAIを活用することで、顧客対応の品質を一定に保つことができます。顧客の立場としても、サポートスタッフによって対応がバラバラだと、その会社の商品やサービスに対する信頼が揺らいでしまいますよね。

AIの特性を十分に理解し、どの部門に活用することで最大限の効果が得られるかを事前に検討することが重要です。

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